1型糖尿病のトライアスロン、血糖値、栄養日記-アイアンマンコナを目指して-

一型糖尿病20年目の管理栄養士です。アイアンマンコナ出場を目指してトレーニングの様子や血糖コントロール、栄養管理についてアップしていきます。

インスリンの機能②

こんばんは。

 

少し更新が遅れてしまいました。

 

新型コロナウイルスの問題も落ち着いてきた様子ですが、トレーナー業は再開の目処が立たないのが現状。

 

さて本題の「インスリン」についてですが、前回はインスリンの基本的な機能についてお話ししましたが、今回は成長との関連性についてアウトプットしていきたいと思います。

 

前回の記事で「インスリン」は身体を作る上で不可欠な要素とお伝えしました。

 

その理由は、身体のエネルギー源となる血液中のブドウ糖を細胞に取り込む働きがあり、その結果血糖値が下がるという事でした。

 

では実生活で、インスリンの働きをどう活かしていくのか?

 

僕個人的な解釈でインスリンの働きを簡単にまとめると・・・

 

「糖分をエネルギーとして各細胞の成長を促す」

 

基本的にはインスリンの分泌は、血糖値の上下によって左右され、血糖値が上がればインスリンの分泌は促され、血糖値が下がればインスリンの分泌は抑制される。

血糖値を上げるには炭水化物の摂取が必要なので、結果的に身体の成長には炭水化物が不可欠と言える。

 

逆に炭水化物の摂取量が少なく、脂質やタンパク質からエネルギーを補うとなると血糖値の上昇は少ないため、インスリンの分泌も少なくなると言えます。

なのでタンパク質ばかりのプロテインだけ飲んでも筋肉の合成を考えると非効率と言えます。

PFC比のバランスを考慮し必要なエネルギーを補う事が筋肉を合成・回復の一番の近道と言えるでしょう。

 

最近の風潮では「炭水化物」は肥満の素など、身体に悪いと認識している人が多いようですが、炭水化物で太るという事は、インスリンを脂肪細胞に働きかけてしまっているからであって食べ方や量がしっかり把握できれば問題ないと言えます。

 

何度も言うように炭水化物というエネルギー源を「インスリン」を介して細胞に取り込み成長を促しているため、それが、脂肪細胞に働けば脂肪の合成を促し、筋肉働けば筋肉が大きくなる。

骨に歪みが起これば骨細胞にも作用しますし、肝グリコーゲンが枯渇した状態であれば肝細胞など様々な細胞に働きかけると思われます。

 

基本的な作用はどの細胞にも同じ事が言えるのでしょうが、特に脂肪細胞や筋肉細胞にインスリンは働く様です。

 

この作用の仕方に関しては、運動量が多ければインスリンは有意に筋肉の合成に使われ、運動量が少ない場合には脂肪の合成に作用する事が分かっています。

 

そうなると、インスリンの分泌を意識的にコントロール出来れば、身体づくりにも応用出来るのではと思いませんか?

 

それで、炭水化物の摂取の仕方でインスリンの分泌をある程度意図的にコントロールが出来るのです。

 

まず、インスリンの分泌を促すには、二糖類や単糖類などの吸収の早い炭水化物を摂取すると血糖値は急上昇します。正常な方だとそれに応じてより多くのインスリンが分泌され血中インスリン濃度が高まることが考えられます。

 

そのため、クリーンやスナッチなどのクイックリフトなどのパワートレーニングや激しい筋肉運動(特にビッグ3などの多関節運動)、HIITやインターバル走などの高強度の運動後には、筋肉の材料となるアミノ酸、すなわちプロテインと合成に必要なエネルギーとなる単糖類や二糖類などの単純糖類を摂る事で、血糖値の急上昇を促し、よりインスリンの分泌を促す事によって効率的に筋肉の合成や回復を促進させる事が考えられます。

これがタンパク質だけでも、炭水化物だけとかに偏ってしまっては上手く機能しないという事です。

 

逆に運動を全くしないで、血糖値の急上昇を促すと多く分泌されたインスリンは脂肪細胞に働き、脂肪を蓄える結果となります。

 

ただコーラ1杯を飲むくらいであれば影響は少ないと思いますが、

 

例を挙げるとファーストフードの代表マ○○ナルドのLセット約1200Kcal/食で考えると

 

コーラLサイズ(ほぼ炭水化物で180Kcal)が急激な血糖値上昇を促し、ポテトフライLサイズ(500Kcal)は血糖値の上昇を穏やかに上げ続けます。さらにハンバーガーの2段の物であると1個で500Kcal以上となり、脂質の量も多い事が吸収を穏やかにして、長時間にわたり血糖値の上昇が続きます。血糖値が上がり続ければそれに応じてインスリンも分泌し続けます。

運動をしていない場合は、このインスリンがほとんど脂肪細胞に働き、コーラやポテトなどでインスリンの分泌は通常の食事と比べ多く分泌されると考えられるので、より脂肪の合成を促してしまうことが考えられるのです。

 

そして運動をしていないとより多くのインスリンを使わないと細胞に糖分を取り込む事が出来ないため血中のインスリン濃度は高まります。血中のインスリン濃度が高まると「インスリン抵抗性」が進行していき、よりより多くのインスリンを使わないと血糖値が下がらず、また、反応性も鈍るので、血糖値が高い状態が続いてしまう。

 

これが長年積み重なると疲弊し、ホメオスタシスが崩れて、血糖値を正常に保てなくなる。

要するにこれが二型糖尿病のきっかけの一つと言えるのです。

 

また、これは一型糖尿病の血糖値の管理にも応用出来ます。

基礎インスリンの投与量に影響が考えられるからです。

注射であれば時効型の投与量を、ポンプであれば基礎インスリンの量を。

僕の感覚だと一度血糖値が200-300またそれ以上が長時間続くだけで、インスリン抵抗性の影響を感じます。

それから、何も対処しないと血糖値が高い状態が続いてしまい、また、ボーラスのカーボ/インスリン比やインスリン効果値にも影響が出てきて、血糖値がかなり乱れはじめます。

当然高血糖を対処しようと追加インスリンなどを投与すると低血糖になり、また反応性の高血糖が起こる・・・

と血糖値の乱高下に繋がります。

※これはあくまで僕の感覚なので個人差があります。

 

よく一型の場合は食事の内容を気にしないで良いというDrや看護師がいますが、あくまで常識の範囲内でという事を肝に銘じておきましょう。

お菓子やご飯を気にせず食べ、インスリン投与量で調節すれば良いという事は、あまりお勧めできません。

というのも、インスリンの投与量が増えれば増えるほどインスリンの利き方が不安定になる事が分かっています。

(曖昧な表記で申し訳ありません。この辺の作用の文献を何処かで見た記憶があるのですが、どの文献だったかいくら探しても見つからず、自分の記憶の中の情報なので細かい数値やエビデンスの情報を詳細にまとめられませんでした。間違っていたら申し訳ありません。

あくまで僕自身の経験則と理屈をまとめてアウトプットした物として参考にして頂ければと思います。)

 

以上の事を簡単にまとめると、

筋肉を始め、身体の成長にはインスリンが不可欠で、インスリンの分泌を促す為に炭水化物を摂る。

また中級者以上の高強度のトレーニングができる方であればトレーニング後の栄養補給には炭水化物を入れたほうがより筋肉の成長や回復に繋がると言えます。

 

逆に運動が出来ていない人は、なるべく、血糖値の急上昇を促す単純糖類の摂取は控え、

食事の炭水化物量は抑える事でインスリンの分泌を最小限に抑える事を意識すると良いかと思います。

あとウォーキング・ジョギングやサイクリング、自重の筋トレなどの低負荷のトレーニングの際にはプロテインなどの運動後の栄養補給はいらないと個人的には思います。

食事でしっかりとタンパク質と適量の炭水化物をとっていれば十分です。

疲労回復を考えるのであれば、ストレッチやマッサージなどの身体のケアを充実させた方がよほど効果あると思います。

最近はやたらタンパク質を取りましょう!とか言われてますが、実際には普通の食事を摂っていれば問題ないです。

軽負荷の運動であると消費も思ったほど出来ていないですし、筋トレなんかはエネルギー消費はかなり少ないので、運動したと思い栄養取ろうと神経質にならない様注意して下さい。

登山などの長時間の運動時には必要ですし、

徐々に高負荷のトレーニングができる様になり、RM %で運動負荷を決められたり、VO2maxやHRMAXのパーセンテージでトレーニングの負荷が明確に把握出来る場合は強度に応じてプロテインと炭水化物を摂取すると、無駄な体重増加もなく自身で体重のコントロールがよりうまく出来る様になると思います。

 

少し話しが逸れてしまいましたが、

学生の場合はとにかく白米と肉魚卵大豆に山盛りの野菜を腹一杯食えば問題ない!!

細かい事は成人になってアスリートレベルの身体能力がついてからで十分!!

 

但し一型糖尿病の学生はそうもいかないと思うのでその辺も簡単に僕の思う事をアウトプットしていけたらと思います。