1型糖尿病のトライアスロン、血糖値、栄養日記-アイアンマンコナを目指して-

一型糖尿病20年目の管理栄養士です。アイアンマンコナ出場を目指してトレーニングの様子や血糖コントロール、栄養管理についてアップしていきます。

インスリンの機能①

皆さんこんばんは。

 

緊急事態宣言で外出自粛をされている方も多いと思います。特に小中学生をはじめとした学生さんもそろそろ飽きてきましたよね。

そんな中で、1型・2型糖尿病の治療中の方をはじめ、アスリートやボディメイクに邁進してトレーニングされている方、またダイエットを頑張っている方などにも向けて「インスリン」について深く考えてみてアウトプットし、少しでもこのブログを通して共有出来ることがあればと思い、何回かに分けて「インスリンの機能について」アップしていこうと思います。

 

小中学生のIDDMの皆んなには難しい内容だと思うので、一通りまとめてアップしたら、小中学生用の物もアップしようと思っています。

 

まず今回は血糖値とはなんぞや??という所から始めていきたいと思います。

 

①血糖値とは?

 

そもそも血糖値って何でしょう?

簡単に言うと「血液中の糖分の濃度」を表したもの。

この血液中の糖分はグルコース(ブドウ糖)という形で存在し血液を介して各組織に運ばれていきます。

脳、神経、酸素を運ぶ赤血球、筋肉の収縮、各臓器の働き、骨や筋肉、皮膚、脂肪を作ったり、消化器官の働きなどなど、身体の各組織は基本このグルコース(ブドウ糖)をエネルギー源として働いています。

 

血液中の糖分の濃度は本来は一定に保たれており、この濃度の変化に基づいて、脳が反応してグルコースをどの様に利用するかを判断しています。

(※このメカニズムは改めてアップしていきます。)

 

この血液中の糖分の濃度を保つ為に「インスリン」は働いています。

要するに血糖値を下げるという事ですが、その血糖値を下げる事についてもう少し深掘っていきましょう。

 

インスリン」は血液中にあるグルコース(ブドウ糖)=エネルギー源を各細胞に取り込む時に働くホルモンで、「インスリン」があって、はじめて身体の組織が正常に働くことが出来るのです。

 

主には筋肉細胞や脂肪細胞の合成時や肝臓dwグリコーゲンを蓄える時などに「インスリン」が反応し血液中のグルコース(ブドウ糖)を取り込み各細胞が機能すると考えられます。

その結果、血糖値が下がっていきます。

 

エネルギー切れを起こさない様に血液中の濃度が一定値まで下がってくるとインスリンの分泌が抑えられますが、インスリンが多く分泌されるとその分、脂肪や筋肉の合成が促される事となります。

 

成長ホルモンなどと同じで身体を作る上で「インスリン」は不可欠なホルモンです。

但しその生理作用は複雑で色々な要素が絡んでいて、何より身体の全ての組織を形成する上でインスリンの反応の元で成り立っているという事です。

 

仮に「インスリン」が無くなってしまうと細胞がグルコース(ブドウ糖)を利用できなくなってしまう為、細胞の飢餓状態が進んでしまいます。

インスリン」がない事でしっかり食事をしていても食事から摂ったエネルギー源は細胞には取り込まれず、血糖値は高い状態が続いてしまいます。それでも脳は飢餓状態にあると思い、蓄えられているグリコーゲンから始り、体タンパク質、脂肪をどんどん分解してエネルギーを作っていきます。

 

インスリン」がないので身体の組織を分解して作ったエネルギー源も血液中に飽和していき血液中のグルコース(ブドウ糖)濃度は高まり=どんどん血糖値は高まっていきます。

 

因みに、インスリングルコースの取り込みだけでなく、アミノ酸の細胞の取り込みや、電解質の細胞間の移動にも関与しています。

 

ここで2型糖尿病の方の場合はインスリンの分泌の反応が遅れてゆっくりとブドウ糖が取り込まれていき、結果的に食後血糖値の急上昇とその後ゆっくり血糖値が下がっていく事となります。

またインスリン抵抗性の影響でより多くのインスリンの分泌が必要になる場合があり、血中インスリン濃度が高まっていきます。

血中インスリン濃度が高まる状態がインスリン抵抗性を促進させていく事がわかっている事と、脂肪の合成を促進させてしまうので、肥満に繋がり、減量もより難しくなってきてしまいます。

一型糖尿病の場合は、インスリンの分泌が極端に少なくなっている、又は枯渇している状態なので身体は栄養が取り込まれずのまま。

 

血中のグルコース(ブドウ糖)濃度が高まっている状態が長く続くと飽和状態にあるグルコース(ブドウ糖)を始め栄養素を尿から排泄させようと働きます。

余分な栄養素を排泄させて血液中の濃度を正常に保とうとするのですが、排泄を促す事で多尿となり脱水などの電解質異常に陥り、腎臓にも多大な負担をかけてしまう事となります。

 

約100年前までは、インスリン製剤は存在していなく、インスリンの欠乏状態となる1型糖尿病の診断は死の宣告と同じで、ほとんどの場合数ヶ月で死亡していたと言われています。

 

血糖値の乱高下があり、コントロールが上手くいかないことも多くなることもあると思います。それで体調の良し悪しが決まる事もありますよね。

それが生活に影響して他人から白い目でみられる事や仕事や人間的な評価に繋がってしまう事もありますが、数ヶ月の命が何十年と元気で生きていけて人生を全うできるのは本当に奇跡的な事なかもしれません。

それを思うと強い心で邁進していける気がします。

 

長くなりましたが、基本的なインスリンの作用の流れと機能、糖尿病の状態についてまとめてみました。

次は応用編、トレーニングや血糖値のコントロール、ダイエットのためのインスリンの考えをアップしていこうと思います。