1型糖尿病のトライアスロン、血糖値、栄養日記-アイアンマンコナを目指して-

一型糖尿病20年目の管理栄養士です。アイアンマンコナ出場を目指してトレーニングの様子や血糖コントロール、栄養管理についてアップしていきます。

スワコエイトピークスミドルトライアスロン2022②

スワコエイトピークスミドルトライアスロン2022

 

今回はスワコの反省点と今後に向けての方針を記載していこうと思います。

 

まず、今回なぜ体調不良を起こしたのか?

考えられる要因をまとめていき、対策を考えて行こうと思います。

 

まず第一に当日の血糖コントロールこれに関しては、前回の記事の通り、当日スイム時から血糖値が250以上まで上がりその影響がフィニッシュまでずっと響いてしまった。

 

なぜ?血糖値が高いと今回のような胸痛や呼吸苦、筋肉の硬直、痙攣が起こるか?

 

血糖値が高くなると、血中の浸透圧が上がることで、浸透圧を調整しようと働く結果、電解質異常が起こり脱水状態になります。

また、血糖値が高い状態が続いているということは、上手くブドウ糖代謝出来ていないということなので身体は脂肪やたんぱく質を分解してエネルギーを確保しようと働きます。

分解された脂肪は毒性を持った遊離脂肪酸になったり、ケトン体となり血液は酸性に傾きます。

これがケトアシドーシスの状態なのですが、この状態がなぜ身体に悪影響を与えるのか?

 

身体でケトン体が多くなることをケトーシス

 

血液のpHが下がることをアシドーシスと言います。

 

ケトン体はエネルギー源になって良いものという認識もありますが、ケトン体濃度が異常に高まると血液は酸性に大きく傾きます。

 

このpHの低下、酸性化が身体に負担をかけてしまうのです。

 

主な現象としては血液が酸性に傾くと、中枢神経系が抑制されると言われています。

 

ケトアシドーシスは中枢神経系が抑制される事によって昏睡状態を招き、最悪死に至る場合もあります。

 

ここからは僕の推測でしかないのですが、今回の結果は高血糖による血液のpHが下がり、中枢神経系が抑制されることで心筋や骨格筋への神経伝達の働きが悪くなり胸痛や呼吸苦、筋肉の痛みに繋がったのではないかと思っています。

 

たまたま1型糖尿病の定期診察のため昨日事前採血をおこなって今日採血の結果を確認したら、CPKがとんでもない数値に。LDH、肝細胞の損傷もあったようで、4日経っていてこの数値は完全に横紋筋融解症のレベルですね・・・。

おそらく糖新生によるアミノ酸の分解も多かったのではないかと思います。

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昨日は足がパンパンに浮腫みやばかった。

横紋筋融解症による腎機能の低下があったと推測。

 

思った以上に身体に負荷をかけていたんだと驚いています。

ただ数値としてはっきりとした分、ホッとした部分もあります。

完全に自分の能力の問題ではなかったという事なのですが、あれだけトレーニングを重ねて今回の結果が実力ですとアイアンマンコナは完全に諦めた方が良いと思いますし💦

 

ただ、こんなこと繰り返していたら、いくらなんでも良くないですし、結果同じ失敗を繰り返していたらそれが実力となってしまいます。

 

では、今後どうすればこのような状態を防げるのかということですが。

 

僕の場合、血糖値のコントロールに周期的な波があるのですが、レースの時は丁度高血糖傾向の波のピーク時と重なってしまったと思われます。

 

高強度のトレーニングをおこなっていると血糖値が何を食べても下がり続ける時が出てきて、そうなると基礎インスリン(僕は今レベミルをつかっています)を減量して調整していくことで、だんだん丁度良いところになってくるのですが、場合によっては減らし過ぎなのか今度は同じボーラスのインスリン量でも血糖値が下がりづらくなってきます。

 

ちなみにボーラスはノボラピットとルムジェブを使用しています。

 

特に一緒に運動量が落ちてくるとさらにインスリンが効きづらくなり高血糖が続くようになります。

そうなるとまた基礎インスリンの量を増やし調整し、数日〜数週間で血糖値が下がり過ぎる傾向になってくるというサイクルを繰り返している状態です。

 

今回レース当日までインスリンが効きづらい状態になった要因として、テーパーリングを意識してトレーニング量をレースの10日ほど前から下げていた事もあり、運動量の低下から基礎インスリンの必要量が増えたのではないかと思います。

 

そうなる前に基礎インスリンを増やせれば良いのですが、やはり、レースとなると低血糖のリスクも考慮しないといけないので中々思い切って基礎インスリンの量を一気に増やせないということもあります。

 

なので少しずつ様子を見ながら数日かけて丁度良い量に調整していくのがマストだと思うのですが、そうなるとテーパーリングのどこのタイミングで基礎インスリンの調整を始めるかの見極めが難しいですね、血糖値が高いのも一回や二回だけじゃ基礎インスリンの問題なのか食事とボーラス投与の問題なのか判断が難しいので。

 

以上の血糖コントロールと併せて、気温も30度を超えたこともあり、そもそも八丈は今だ30度を超えるよう猛暑日はなく比較的涼しいので尚更暑熱順応ができていないのもあったのかと思います。

発汗も多く、高血糖状態が電解質、酸塩基平衡の異常をもたらし運動機能の低下を起こしてしまったと考察に至りました。

 

では今後、どのようにしてレースの臨めば良いか?

 

シンプルな答えとしては高血糖を起こさないようにより厳格にコントロールをするとなるのですが、ただただ炭水化物量を抑えてとなると恐らく体重減少、回復の遅れなどが予測されます。

 

週末のトレーニング日は消費エネルギーだけで2000Kcal、日によっては3000Kcalを超えるので平均すると2500〜3500Kcal/日は食事で確保しないとと思っています。

(平日はトレーニング量も限られるので2500Kcal/日程度でと思っています)

 

そもそも、なぜ高血糖気味なのか?

 

まず、今年の佐渡のレース、諏訪湖のレースの出場が決まりトレーニング量がかなり増えました。

 

今まではあまり多くの糖質を摂る意識はなかったのですが、ここ数年スポーツ栄養を勉強するにあたり、ケトアダプテーションとセオリー通りの高炭水化物の食事管理とどちらにすべきか色々論文や研究データを読みあさり考えた結果、セオリー通りに高炭水化物の栄養管理でやっていこうという結論に至りました。というのも病院管理栄養士の仕事には検食という患者さんと同じ料理を1食分、味見を必ずすると決まっており、その際にしっかりとご飯が1人前あるので、検食をするとなるとケトアダプテーションは無理ということもありました。

そしてセオリー通りに炭水化物を摂取するとなると目安として体重1kgあたり8〜10g(高強度の日)平日など中等度の負荷であれば6〜8gの炭水化物が必要とされています。僕は体重65kg前後なので520〜650gの炭水化物を一日の目安になります。

 

1食の目安が200g前後の炭水化物はご飯に換算すると500g強となります。

 

ご飯相当な量ですよね。

 

また食後高血糖を防ぐため1日4〜5回食としていました。

 

それでも体重は64〜66kgの間で推移し、ボーラスのインスリン量を増やすことでそれなりにコントロールでき5月はHbA1c6.3%でした。

しかし、血糖値の乱高下は結構ひどく、上述したように高血糖の波と時には今回のレースの時のように上手く身体が動かない時もありました。

 

それがわかっていたため、レース前は血糖コントロールにも注意していたのですが・・・

 

中々上手くいかないものです。

 

今回のことで、やはり炭水化物量を増やし回復を図ることは1型糖尿病には不向きだと感じました。

炭水化物量が増え、インスリン量が増えれば増えるほど、インスリンの効き方の誤差が大きくなると身に染みて感じ、これはバーンスタイン先生もおっしゃっている事ですね。

 

ということで、完全に栄養管理はケトアダプテーション

 

実際、レースから帰宅し消耗は感じていなく、疲労はないのですが筋肉の痛みが治まっておらず、採血の結果を見てレース以降トレーニングは休んでいます。

 

 

7月から佐渡に向けて、ケトアダプテーションとロングに向けたロング走+ペース走を軸としたトレーニングを行なっていこうと思っています。

 

空腹時低負荷ロング走などもケト適応には必要になってくるので、長時間の運動に体を慣らしていこうと思います。

 

今回の記事もここまでで長くなってしまったので、1型糖尿病について、アイアンマンへ挑戦する意義のまとめはまた次回に。